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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻1号

1987年01月発行

文献概要

症例

Behçet病患者に認められた腸管の炎症性病変

著者: 林繁和1 江崎正則1 礒田憲夫1 小島洋二1 山田昌弘1 佐竹立成2

所属機関: 1名古屋掖済会病院消化器科 2名古屋掖済会病院病理

ページ範囲:P.98 - P.104

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要旨 患者は29歳,男性.右下腹部痛と粘血便を主訴として入院,現症で顔面躯幹の毛囊炎様皮疹,下口唇のアフタ性潰瘍,陰囊部有痛性潰瘍,両膝関節痛,左第4指膿皮症を認めた.臨床検査所見ではWBC14,900/mm3,血沈1時間値100mm,CRP6(+)以外に著変なく,ツ反,血清アメーバ抗体は陰性であった.X線所見では直腸に辺縁不整,全体に凹凸があり,横行結腸中央部に2個のニッシェが,そして,横行結腸口側1/3から盲腸までは直腸と同様の変化がみられた.内視鏡検査でもX線所見と一致した部位に潰瘍性病変を認め,下掘れの強い潰瘍やmucosal bridgeも認めた.病変部の生検組織には陰窩膿瘍や肉芽腫を認めなかった.salazopyrinの内服で臨床症状は改善し,X線・内視鏡所見でも潰瘍は消失し,炎症性ポリープの出現をみた.本例は不全型のBehçet病を有し,腸病変は潰瘍性大腸炎やCrohn病とは一致せず,Behçet病患者に認められた本邦ではまれな型の腸管の炎症性病変と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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