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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻11号

1987年11月発行

文献概要

今月の主題 消化管のアミロイドーシス(1) 主題

消化管アミロイドーシスのX線診断

著者: 政信太郎1 西俣嘉人1 鮫島朝之1 大井秀久1 米沢善照1 西俣寛人1 橋本修治1 朝沼榎2 桂禎紀2

所属機関: 1鹿児島大学医学部第2内科 2鹿児島大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1265 - P.1274

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要旨 (1)アミロイドーシスのX線像を二重造影像を中心に検討した.(2)アミロイドーシス23例を対象にX線像を粘膜模様像と変形に分けて考察した.(3)固定標本レントゲノグラムの粘膜模様を,便宜上3つのパターンに分類した.A.微細顆粒状陰影.B.ひだの変化を主とするもの(ひだの直線化,肥厚,硬化,乱れ,消失).C.びらん,潰瘍がみられるもの(多発・散在性のバリウム斑を主とするもの,大小不同の顆粒状陰影を主とするもの).(4)アミロイド沈着の分布および程度,潰瘍の形態に分け,シェーマで示した.(5)二重造影には3つのパターンに対応する像がみられた.(6)変形では小腸には狭小,拡張,ハウストラ様変形がみられ,大腸にはハウストラの硬化像,狭小,segmental signがみられた.(7)そのほかに浮腫およびspasmの像,腸管辺縁の硬化・粗糙,バリウムの付着異常,多彩性,通過時間の遅延などがみられた.(8)粘膜模様は上部小腸では糞線虫症に,下部小腸では腸結核に,大腸では潰瘍性大腸炎に類似していた.(9)粘膜模様は類似していても,変形,罹患範囲,多彩性の点で差がみられた.(10)アミロイドーシスの各所見の組織学的背景は,①粘膜固有層へのアミロイド沈着,②粘膜筋板へのアミロイド沈着,③浮腫,特に粘膜下浮腫,④血管壁へのアミロイド沈着による内腔狭窄→血流障害,⑤神経線維へのアミロイド沈着,これらが重なり合って,種々のX線像が現れると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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