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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻11号

1987年11月発行

文献概要

今月の主題 消化管のアミロイドーシス(1) 主題

アミロイドーシスにおける小腸X線像―内視鏡および生検所見との対比

著者: 飯田三雄1 重松明博1 多田修治1 松井敏幸1 岩下明徳2 八尾恒良3 山本勉4 渕上忠彦5 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2松山赤十字病院病理 3福岡大学筑紫病院内科 4福岡大学医学部第1内科 5松山赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.1275 - P.1286

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要旨 十二指腸~上部空腸にアミロイド沈着が確認された22例を対象とし,小腸X線所見と内視鏡,生検所見とを比較検討した.経口法では皺襞山の腫大,皺襞谷の縮小を認めたが,腸管幅は正常であった.二重造影法ではいずれの計測値も正常例と有意差を認めなかった.二重造影法における粘膜パターンは,①0群:粘膜下腫瘤様陰影が多発するもの(2例,②Ⅰ群:結節状陰影が多発し,びまん性に粘膜粗糙像(大小不同の小顆粒状陰影の多発から成る)を認め,小バリウム斑の散在を伴うもの(4例),③Ⅱ群:粘膜粗糙像とKerckring皺襞の凹凸像を認め,小バリウム斑の散在を伴うもの(4例),④Ⅲ群:粘膜粗糙像とKerckring皺襞の凹凸像を認めるが,小バリウム斑を伴わないもの(7例),⑤Ⅳ群:Kerckring皺襞の凹凸像のみを認めるもの(3例),⑥Ⅴ群:異常を認めないもの(2例),の6段階に分類できた.粘膜パターンとX線像計測値あるいは腹部症状とを比較した結果,Ⅰ群~Ⅴ群が通常みられる本症の粘膜パターンであり,0群はその特殊型と考えられた.X線像は内視鏡所見とよく一致したが,生検所見とは明らかな相関関係を認めなかった.以上の成績よりアミロイドーシスのX線診断は,経口充満像と二重造影像を対比することによって得られる腸管の伸展性の程度と二重造影像における粘膜パターンを組み合わせることにより可能であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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