文献詳細
文献概要
--------------------
編集後記 フリーアクセス
著者: 西澤護
所属機関:
ページ範囲:P.1446 - P.1446
文献購入ページに移動本号をみて,食道癌についての第2の黎明期を迎えつつあると感ずるのは筆者だけではないと思う.それほど,模索し続けてきたep癌,mm癌の診断が一挙に花咲いたように思われるからである.ちょうど,昭和30年代に胃の早期癌をみつけようとしていたときによく似ている.胃の微細診断を追求していた努力が,このような形で食道癌の早期診断に結びつくとは思わなかったが,胃のⅡbの診断と同レベルと思えば大きな違いはない.むしろ,それにルゴールという妙薬があったために,胃のⅡbの診断学よりはるかに急速に進歩する可能性を秘めている.胸がワクワクする思いがするのは,それほど,ep癌,mm癌の診断が,食道癌の予後をよくするからである.それらの肉眼形態も胃のm癌をもっと平べったくしたものによく似ている.それだけ分類も単純化されるだろう.筆者らのグループでもep癌をみつけたものが5人まで増えてきた.もう聖域ではない.みつけていないものが恥ずかしくなるのも時間の問題だ.形態診断をやっているとこんな楽しみがあるからやめられない.
掲載誌情報