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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻2号

1987年02月発行

今月の主題 陥凹型早期胃癌の深達度診断

主題

陥凹型早期胃癌の深達度診断―部位によるX線診断の問題点

著者: 細井董三1 西澤護1 野本一夫1 岡田利邦1 山田耕三1 牧野哲也1 志賀俊明1 古澤英紀1 泉正治1 渕上正弘1 尾辻真人1 前田一郎1

所属機関: 1東京都がん検診センター

ページ範囲:P.185 - P.197

文献概要

要旨 X線による陥凹型胃癌の深達度診断の現状を分析し,その問題点と対策について,部位別,粘膜領域別に検討した.深達度診断の的中率はm癌では63.2%,sm癌では49.2%,早期癌類似進行癌では79.9%であった.m癌では前壁の病変,胃底腺粘膜領域の病変,未分化型癌,Ulを合併した病変は陥凹の境界が鮮明で,陥凹底の凹凸が著明なものが多く,ひだの先端の変化も著明なため,sm癌または進行癌と誤診される傾向がみられた.sm癌では噴門部と幽門部は解剖学的,X線学的に特殊な部位であり,従来の診断法が当てはめにくいため,的中率は特に悪く,前者では組織所見よりも浅く,後者では深く読み過ぎる傾向がみられた.しかし,sm癌全体についてみると,進行癌と診断された例は少なく,sm癌の約半数はm癌と誤診されていた.このことは,従来の診断法には,m癌とsm癌の鑑別に問題が残されていることを物語るものであり,今後,sm浸潤に対する,より精度の高い指標の開発と同時に,従来の診断指標をより有効に活用するための対策の検討が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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