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今月の主題 直腸・肛門部病変の新しい診かた 序説
直腸・肛門部病変の新しい診かた
著者: 武藤徹一郎1
所属機関: 1東京大学医学部第1外科
ページ範囲:P.247 - P.247
文献購入ページに移動 「胃と腸」で直腸・肛門部病変が取り上げられるのは今回で2度目になる.前回はちょうど10年前の12巻3号であったから,奇しくもこの10年間の進歩の跡を本特集号でお届けすることになった.決して10年周期を意図したわけではないのであるが,そろそろこの辺で直腸・肛門の特集を組んではという気運が自然に生まれてきたのにはそれだけの意味がある.それはこの特集の内容の質と量を10年前のそれと比較してみれば自ずと明らかになるであろう.
筆者が指摘するまでもなく,この道の専門家によって常々指摘されているように,直腸・肛門部病変は上部消化管,他の消化器病変に比べて軽んぜられ疎まれてきた.患者のみならず消化器を専門とする医師にさえも,この部位の診療は好まれず,できれば避けて通ろうとされたものである.その傾向は一部の例外はあるにしても,現在でも大して変わっていないと思われる.このため,少々失礼な言い方をすれば,胃腸疾患には精通していても,直腸・肛門疾患はあまり得手ではない消化器専門家が無しとしないのではないかと推察される.しかしながら,本特集の内容を見ればわかるように,直腸・肛門部には実に様々な病変が存在するのである.そればかりでなく,幾つかの,10年前には知られていなかった病変まで見出されている.軽んじていた分野にまだわかっていないことが沢山ある.これらの病変はその存在さえ知っていれば診断は容易であり,ただそれだけで日常診療における有用性は多大なものがある.特徴的な痔瘻の所見から,Crohn病を直ちに疑うことができるのはその好例であろう.
筆者が指摘するまでもなく,この道の専門家によって常々指摘されているように,直腸・肛門部病変は上部消化管,他の消化器病変に比べて軽んぜられ疎まれてきた.患者のみならず消化器を専門とする医師にさえも,この部位の診療は好まれず,できれば避けて通ろうとされたものである.その傾向は一部の例外はあるにしても,現在でも大して変わっていないと思われる.このため,少々失礼な言い方をすれば,胃腸疾患には精通していても,直腸・肛門疾患はあまり得手ではない消化器専門家が無しとしないのではないかと推察される.しかしながら,本特集の内容を見ればわかるように,直腸・肛門部には実に様々な病変が存在するのである.そればかりでなく,幾つかの,10年前には知られていなかった病変まで見出されている.軽んじていた分野にまだわかっていないことが沢山ある.これらの病変はその存在さえ知っていれば診断は容易であり,ただそれだけで日常診療における有用性は多大なものがある.特徴的な痔瘻の所見から,Crohn病を直ちに疑うことができるのはその好例であろう.
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