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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻3号

1987年03月発行

文献概要

今月の主題 直腸・肛門部病変の新しい診かた 主題

肛門管癌の病理

著者: 藤原章1 吉田正一1 加藤洋1 柳沢昭夫1 菅野晴夫1 太田博俊2 高橋孝2 西満正2 丸山雅一3

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理部 2癌研究会付属病院外科 3癌研究会付属病院内科

ページ範囲:P.279 - P.290

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要旨 肛門癌を大腸癌取扱い規約が定義する肛門管癌とすると,われわれの施設で1960~1979年の20年間に42例が切除された.これは同期間に切除された全直腸肛門管癌の6.6%(42/639)に相当した.肛門の解剖は複雑であり,これを反映して肛門管癌の組織像は多種多彩である.そのうちで最も頻度の高いものは直腸型腺癌(22例52%)であり,次いで扁平上皮癌(類基底細胞癌も含む)(9例21%),痔瘻に伴う腺癌(7例17%)であり,その他の癌は極めてまれであった.直腸型腺癌は直腸(Rb)癌の一型とも考えられるが鼠径リンパ節転移率が高いことなどから直腸(Rb)癌から独立させる意味があると考えられた.類基底細胞癌は角化傾向を示すことが多く,今回は扁平上皮癌の一型として扱った.扁平上皮癌を角化傾向の程度で,高,中,低分化型に分けると,予後(術後5年生存率)は高分化型が最も不良であった.痔瘻に伴う腺癌はほとんどが粘液癌であり,その予後は他の型の癌に比し良好であった.Cullingらの粘液染色を用いたところ,7例中5例は癌細胞の粘液が直腸型であり,他の2例は直腸型か肛門腺型か判別できなかった.そのほか悪性黒色腫も含め肛門に発生する種々の癌について,その組織診断および組織発生の問題について考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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