今月の主題 小さな大腸癌―早期診断のために
主題
10mm台の進行大腸癌のX線・内視鏡的特徴
著者:
牛尾恭輔1
水口安則1
石津谷義昭1
縄野繁1
石川勉1
村松幸男1
高安賢一1
森山紀之1
松江寛人1
山田達哉1
吉田茂昭2
小黒八七郎2
板橋正幸3
廣田映五3
市川平三郎4
所属機関:
1国立がんセンター放射線診断部
2国立がんセンター内視鏡部
3国立がんセンター病理部
4国立がんセンター病院
ページ範囲:P.387 - P.396
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要旨 国立がんセンターにて1962年から1985年までに切除され,大きさが10~19mmの進行大腸癌は14例であった.X線,内視鏡,切除標本でその特徴像を検討した.その結果,腫瘍の起始部は山田のⅡ~Ⅲ型隆起を示し,また表面は分葉状ではなく結節状を呈し,12例(85.7%)は中心陥凹を伴っていた.一方,周囲粘膜と腫瘍との境界部では,健常粘膜が腫瘍の辺縁部に覆いかぶさるような形態を示す傾向がみられた.特にX線所見についてみれば,病変の側面像が得られた10例中全例に,腸管に弧状変形か台形状変形がみられた.弧状変形を示す例では,癌組織は固有筋層にわずか浸潤していた.しかし,台形状変形を示した例では,癌組織は固有筋層やそれ以下の層に中程度量以上浸潤していた.小さな進行癌の診断には,結節状で中心陥凹がみられる無茎性病変を発見し,特にX線学的には,病変の側面像における腸管の変形の分析を行うことが重要である.