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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻4号

1987年04月発行

文献概要

今月の主題 小さな大腸癌―早期診断のために 主題

10mm未満の大腸癌の病理組織学的特徴―組織発生の観点から

著者: 大倉康男1 中村恭一1

所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理

ページ範囲:P.431 - P.441

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要旨 大腸癌の大部分が腺腫から発生すると広く知られているが,その組織発生は腺腫以外の大腸粘膜を含め特異的なものである.また,その説から導かれる有茎性腺腫内癌から潰瘍形成性進行癌への発育過程にも疑問が持たれている.これらの疑問を解決するためには客観的な組織診断基準が必要であり,10mm以下の小さな大腸癌について異型度係数を用いた組織学的検討を加えた.その結果,大腸癌の大部分はde novo癌であり,腺腫由来説とは全く異なるものであった.そして,潰瘍形成性進行癌への主たる経路は,扁平あるいは無茎性の癌が小さなうちから粘膜下組織浸潤していくものと考えられた.この組織発生は特異的でなく,その発育過程は自然なものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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