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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻5号

1987年05月発行

文献概要

今月の主題 胆囊癌の診断―発育進展を中心に 主題

胆囊癌の発育・進展―肉眼型・壁内発育様式・癌の大きさからみて

著者: 内田克之1 渡辺英伸1 味岡洋一1 鬼島宏1 近藤公男1 岩淵三哉1 石原法子1 吉田奎介2 白井良夫2

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2新潟大学医学部第1外科

ページ範囲:P.511 - P.521

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要旨 進行胆囊癌106病変を対象として胆囊壁内における癌の発育進展を検討した.粘膜面の高低からみた肉眼型は乳頭型12病変(11%),結節型34病変(32%),平坦(びまん浸潤)型24病変(23%),早期癌類似型36病変(33%)であった.106病変113浸潤病巣のうち,49病巣(43%)はびまん浸潤発育,33病巣(29%)は腫瘤浸潤発育,13病巣(12%)は腫瘤膨張発育を示し,残りの18病巣(16%)は漿膜下浸潤面積が0.5cm2以下の微小浸潤を示した.微小浸潤18病巣のうち5病巣(28%)はRokitansky-Aschoff洞(RAS)内癌からの漿膜下浸潤であった.各肉眼型の癌の大きさと深部発育様式や深部浸潤量との関係をみると,結節型癌は腫瘤形成発育を,平坦型癌はびまん浸潤発育を示し,共に粘膜内の癌の面積(m cm2)が15cm2以下であるとm≦ss(漿膜下の癌の面積)で,m>15cm2であるとm>ssであった。乳頭型癌でもm≒ss cm2とm>ss cm2の2群が存在していた.早期癌類似型癌では癌の大きさと深部発育様式や深部浸潤量との間に相関はみられなかった.進行胆囊癌の発育進展の特徴として,漿膜下層のRAS内粘膜癌が直接漿膜下へ間質浸潤して進行癌になりうること,ある局面で粘膜から深部へ“すだれ”状にびまん浸潤すること,分化型癌であるにもかかわらず漿膜下層でリンパ管や組織間隙を通って側方へびまん浸潤すること,更に,胃癌と同じように“深部浸潤型癌”と“表層拡大型癌”に大別されることなどが挙げられよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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