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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻6号

1987年06月発行

今月の主題 胃の腺腫とは―現状と問題点

主題

胃の腺腫:私はこう考える―定義と亜分類

著者: 喜納勇1

所属機関: 1浜松医科大学第1病理

ページ範囲:P.641 - P.645

文献概要

 腺腫一般の定義

 腺腫の本態は,癌の本態と同様に,わかっていない.しかし,病理学の中に古くから知られている疾患単位であることは誰もが認めている.そして多くの器官に腺腫がある.実質臓器では肉眼的にも結節を形成し,その存在が疑問視されたことはあまりない.甲状腺腺腫,副甲状腺腺腫,副腎腺腫,膵囊胞腺腫などは古くから知られており,最近では肝腺腫も市民権を得つつある.これは,その本態が過形成に近いか,癌に近いかというのとは別問題である.また実際に,腺腫の中には癌と区別の難しいものがあること,過形成と区別が難しいものがあることも確かである.疾患単位とされているある病変の周辺に,他の疾患と区別がつきにくい境界病変があることはむしろ例外でなく当然のことのように思われる.

 腺腫の概念を,例えば過形成と癌とに解体すべきであるという意見もある.腺腫をこのように理論上分解することは重要な試みではあろうが,臨床病理学的の面で実行することは困難なことと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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