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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻6号

1987年06月発行

今月の主題 胃の腺腫とは―現状と問題点

主題

胃の腺腫:私はこう考える―癌を含む広義の異型上皮の認識とその分類

著者: 中村恭一1

所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理

ページ範囲:P.651 - P.655

文献概要

 はじめに

 胃には,組織学的に明らかな癌ではないが異型性のある限局性上皮性病変があり,それが炎症あるいはびらん後の再生による上皮性変化でない場合に,われわれはそれを“異型上皮巣lesion of atypical epithelium”,“腺腫adenoma”,“Ⅱa-subtype”,あるいは“異形成dysplasia”と呼んでいる.このような病変の診断は,病理組織学的に,癌診断と共通の“異型”という物差しを用いてなされている.それが実際において一番問題となることは,良性か悪性かの鑑別診断,そして,その病変を放置しておいた場合に悪性化するかどうかの癌化の頻度についてである.そのような問題を含んでいるその病変の“生物学的ふるまい”がある程度明らかにされた後には,それをどのように呼ぶかの共通用語の問題が派生してくる.それに対しては,当然のことながら,種々の観点からの呼び名を付けることができるし,また,それをどのように呼ぶかは自由である.重要なことは,その限局性上皮性病変がどのように認識され,そして,どのような“生物学的ふるまい”をするか,ということを理解しておくことであろう.

 ここでは,分化型癌を含む異型性のある限局性上皮性病変の集合(広義の異型上皮巣)がどのように認識され,どのような部分集合に分けられるのか,そしてそれらの生物学的ふるまい,ということについて述べ,そこから疾患カテゴリー,そしてその取り扱いについての考察を行ってみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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