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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻6号

1987年06月発行

文献概要

今月の主題 胃の腺腫とは―現状と問題点 主題

胃の腺腫:私はこう考える

著者: 加藤洋1

所属機関: 1癌研究所病理部

ページ範囲:P.673 - P.678

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要旨 “腺腫”は腫瘍総論的には腺上皮系の“良性新生物(benign neoplasm)”であり,生物学的に1つの安定状態にあると考えられている.しかし,その位置付けからはある程度の前癌性も見込まれている.われわれは従来より胃における上皮性異型病変で過形成・再生の範疇にも癌の範疇にも入らない病変に対しては“異型上皮”あるいは“異型上皮巣”なる名称を与え,この中に腺腫を含める立場を取ってきた(広義の“異型上皮巣”).異型上皮巣はそれを構成する上皮により“腸型”か“胃型”かに分けられ,更に肉眼型により隆起型か平坦型か陥凹型かに分けられる.最も頻度の高いものは腸型のⅡa様隆起性病変である.諸臓器,特に大腸における腺腫の形態学的および生物学的特徴に鑑み,胃の異型上皮巣のうちどの病変が“腺腫”と呼ばれるにふさわしいかの検討を行った.腸型の隆起型病変(早期胃癌Ⅰ様およびⅡ様),腸型の平坦型病変(同Ⅱb様)の一部,および胃型の大きな隆起型病変は腺腫と呼ばれてかまわない病変と考える.その他の病変は異型上皮巣としておくのが妥当であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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