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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻6号

1987年06月発行

今月の主題 胃の腺腫とは―現状と問題点

主題

胃の腺腫:私はこう取り扱う

著者: 八尾恒良1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院内科

ページ範囲:P.689 - P.692

文献概要

 一般に癌の診断は病理学的所見に基づいて行われる.しかし,病理の先生方には大変失礼な言い方かもしれないが,その診断は100%確実で不動のものではない.例えば早期癌がポピュラーとなった昭和36年から昭和40年ごろまでは,胃癌を専門とされる病理の偉い先生方の間でも,その診断には相当なばらつきがあった.また,現在では大腸癌の診断が,学者によって著しく異なることは西沢らが指摘するとおりである.

 今一つ問題がある.たとえどれほど熟達した病理学者でも,癌と非癌を組織レベルで本当に区別できるのかという疑問である.中村は,組織細胞水準における異型の程度は連続的に無数に存在すること,したがって,良性か悪性かの判断をすることが不可能である不確実性域が必然的に生じることを述べている.しかし,岩下らはvillous tumorの検討の中で,組織レベルで癌化の所見を示さずに粘膜下層以下への浸潤像を示し,腫瘍全体を分化したlow grade malignancyと診断せざるを得ない例が多数認められたと述べている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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