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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻7号

1987年07月発行

今月の主題 腸結核と癌

主題

腸結核と大腸癌

著者: 八尾恒良1 岩下明徳2 飯田三雄3 坂本清人4 田中啓二5

所属機関: 1福岡大学筑紫病院内科 2松山赤十字病院検査部 3九州大学医学部第2内科 4九州中央病院内科 5福岡市医師会病院

ページ範囲:P.765 - P.780

文献概要

要旨 自験6例の同部位腸結核合併大腸癌を呈示し,本邦文献を渉猟して,同部位腸結核合併大腸癌39例と他部位腸結核合併大腸癌7例を蒐集した.同部位腸結核合併大腸癌を分析して以下の結果を得た.①一般の大腸癌に比べ有意に女性が多い.②病変部位は有意に盲腸~上行結腸が多く,S状結腸,直腸が有意に少ない.③5型の肉眼型が有意に多く,2型が有意に少ない.④活動性肺結核合併は1例(4.2%)にすぎず,他は陳旧性腸結核合併例か,胸写上異常のないものであった.⑤記載された29例中,9例(31.0%)が,診断される8~59年以前に腸結核に感染または,感染する機会を有していた.3年以内に感染または感染の機会があった症例はなかった.⑥癌のほかにいわゆるdysplasiaを有した症例が少なくとも3例に認められた.以上の成績に考察を加え,同部位腸結核合併大腸癌では,腸結核の大腸粘膜を発生母地とする大腸癌の存在を否定できないと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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