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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻7号

1987年07月発行

今月の主題 腸結核と癌

主題症例

大腸結核瘢痕部に併存した大腸癌の1例

著者: 牧山和也1 吉田登1 山川正規1 千住雅博1 船津史郎1 田中俊郎1 長部雅之1 井上健一郎1 伊津野稔1 村田育夫1 今西建夫1 原耕平1 下山孝俊2 三浦敏夫2

所属機関: 1長崎大学医学部第2内科 2長崎大学医学部第1外科

ページ範囲:P.825 - P.830

文献概要

要旨 患者は63歳女性.貧血を主訴に来院した.結核の既往歴,家族歴はなかった.注腸X線検査で,盲腸の消失,上行結腸の長軸方向の著明な短縮,炎症性ポリープと偽憩室の所見から,結核性萎縮瘢痕病変と考えられた領域内に大きさ約5.0cmの表面粗糙で,背の低いⅡa様隆起を認めた.隆起は鉗子生検で腺癌であった.切除標本の全割切片による組織学的検索の結果,結核の所見は見出せなかったが,腸管上皮の萎縮と粘膜下層の陳旧性線維化があり,Ⅱa様隆起は腺腫を伴わない高分化腺癌であった.すなわち,本例は大腸結核の疑診例であったが,この瘢痕萎縮病巣内に大腸癌を併存した極めてまれな病態であった.文献的に両疾患の特徴と関連性について考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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