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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻7号

1987年07月発行

文献概要

今月の主題 腸結核と癌 主題症例

腸結核瘢痕に合併した大腸癌の1例

著者: 山口正康1 渡辺英伸1 味岡洋一1 田口夕美子1 永田邦夫2 植木淳一2

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2新潟大学医学部第3内科

ページ範囲:P.847 - P.850

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要旨 62歳の女性.1年前の注腸検査で右側結腸に潰瘍瘢痕を伴う萎縮帯,偽憩室,炎症性ポリープがあり腸結核の治癒像と診断されていた.今回,SLEの腎機能障害のため内科入院中,回盲部腫瘤,疼痛が出現し,注腸・内視鏡検査で腸結核と診断されたが,生検にて大腸癌の合併と診断された.切除標本は回盲弁直上に不整形の潰瘍を有し全周性の狭窄を伴う浸潤潰瘍型の大腸進行癌で,組織学的には粘液産生を伴う低分化腺癌であった.隣接する上行結腸には多発する潰瘍萎縮瘢痕帯と粘膜集中を認めた.しかし全割による組織学的検索で乾酪化肉芽腫は証明されなかった.以上より注腸所見,肉眼所見から腸結核の疑診例と診断し,その病巣部に大腸癌を合併した症例と思われた.腸結核に合併する大腸癌は通常みられる大腸癌の形態とは異なることが多く,注意深い検査が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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