文献詳細
文献概要
今月の症例
胃角部前後壁の重複Ⅱc型早期胃癌
著者: 清水宏1 馬場保昌1
所属機関: 1癌研究会附属病院内科
ページ範囲:P.996 - P.998
文献購入ページに移動 〔症例〕64歳,男性.主訴:食思不振.家族歴:特記所見なし.既往歴:54歳より高血圧症で加療.現病歴:1985年7月,軽度の嚥下困難と体重減少に気付き近医を受診.内視鏡検査で胃角部後壁の異常を指摘され,当院を紹介される.1985年8月10日,当院初診.同年8月21日,外来の胃X線精密検査で,胃角部前壁と後壁に多発した早期癌と診断された.9月2日,内視鏡的生検診断では2つの病変はいずれも分化型腺癌であった.同年9月30日に手術が施行された.
〔胃X線所見〕X線写真のaとbは同じフィルムでaはポジ,bはネガの状態の写真である.比較のため呈示した.胃チューブ(6号チューブ)で胃液を排出した後,腹臥位で造影剤30mlを注入し,空気を200mlぐらい入れ弱い伸展の二重造影の状態で造影剤の流れを観察した.胃角部前壁に造影剤をはじく所見に気付いた.Fig. 1,2はそのときに撮影した前壁二重造影写真である.顆粒状の隆起を伴った浅いⅡcであることがわかる.生検はされていない.Fig. 1,2の前壁二重造影の後にFig. 3,4の後壁二重造影と圧迫撮影を行った.仰臥位二重造影写真(Fig. 3a,b)では,胃角部小彎後壁に輪郭がギザギザした小さなバリウム斑が認められ,その辺縁には小区様の透亮像を伴っている.圧迫写真(Fig. 4a,b)では,不整形のニッシェの周囲の陰影欠損(辺縁隆起部)が目立つ.分化型Ⅱcの特徴的な所見の1つである.
〔胃X線所見〕X線写真のaとbは同じフィルムでaはポジ,bはネガの状態の写真である.比較のため呈示した.胃チューブ(6号チューブ)で胃液を排出した後,腹臥位で造影剤30mlを注入し,空気を200mlぐらい入れ弱い伸展の二重造影の状態で造影剤の流れを観察した.胃角部前壁に造影剤をはじく所見に気付いた.Fig. 1,2はそのときに撮影した前壁二重造影写真である.顆粒状の隆起を伴った浅いⅡcであることがわかる.生検はされていない.Fig. 1,2の前壁二重造影の後にFig. 3,4の後壁二重造影と圧迫撮影を行った.仰臥位二重造影写真(Fig. 3a,b)では,胃角部小彎後壁に輪郭がギザギザした小さなバリウム斑が認められ,その辺縁には小区様の透亮像を伴っている.圧迫写真(Fig. 4a,b)では,不整形のニッシェの周囲の陰影欠損(辺縁隆起部)が目立つ.分化型Ⅱcの特徴的な所見の1つである.
掲載誌情報