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今月の主題 胃底腺領域の癌―Ⅱcを中心として 序説
Ⅱcを中心とした胃底腺領域の癌の問題―“linitis plasticaへの小径”の風景から
著者: 中村恭一1
所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理
ページ範囲:P.999 - P.1001
文献購入ページに移動 胃癌組織発生からは胃固有粘膜から発生する癌は腺管形成傾向の極めて弱い未分化型癌が発生することは明らかであり,その中でも胃底腺粘膜から発生する未分化型癌は同じ胃固有粘膜の1つである幽門腺粘膜から発生するそれとは臨床病理学的ふるまいが異なっている.それは胃底腺粘膜から発生した未分化型癌は小さいうちから粘膜下組織へ浸潤し,そしてlinitis plastica型癌状態となる傾向があり1),更にはこの状態の癌は若年ないし中年,なかでも女性に多いということである.
このlinitis plastica型癌の早期診断が容易であるならば,何も“胃底腺領域の癌”を問題として取り上げることもない.しかしこの癌は,毎年検査を受けていて正常と診断されていた人が,ある時点でlinitis plastica型癌状態で発見され,そのときはもう手遅れであるといった場合が多い.更には,この状態の癌は若年ないし中年に多い傾向があり,一般的に患者の子供が幼小であるとか,家庭的に多くの悲劇が生じている.この型の癌は,その診断経過からして,医療訴訟の動機となりやすいものである.
このlinitis plastica型癌の早期診断が容易であるならば,何も“胃底腺領域の癌”を問題として取り上げることもない.しかしこの癌は,毎年検査を受けていて正常と診断されていた人が,ある時点でlinitis plastica型癌状態で発見され,そのときはもう手遅れであるといった場合が多い.更には,この状態の癌は若年ないし中年に多い傾向があり,一般的に患者の子供が幼小であるとか,家庭的に多くの悲劇が生じている.この型の癌は,その診断経過からして,医療訴訟の動機となりやすいものである.
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