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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻9号

1987年09月発行

今月の主題 胃底腺領域の癌―Ⅱcを中心として

主題

胃底腺領域の早期癌の診断

著者: 牧野哲也1 西沢護1 野本一夫1 細井董三1 岡田利邦1 山田耕三1 志賀俊明1 大村秀俊1 平田稔彦1 渕上正弘1 前田一郎1 大倉澄子1

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器科

ページ範囲:P.1003 - P.1010

文献概要

要旨 胃底腺粘膜から発生した早期癌52例66病変の特徴とそのX線,内視鏡診断について検討した.性別では女性47例(90%),男性5例(10%)で女性に多かった.年齢的には40~59歳に多くLP型癌の性,年齢別頻度に類似性がみられた.肉眼分類ではIIc:29病変,Ul(+)またはUl-s(+)のIIc:31病変,IIb:6病変で全例未分化型癌であった.Ulの有無と深達度をみるとUl(-)ではm癌が多く,Ul(+)ではsm癌が多い傾向がみられた.大きさと深達度をみると2cm以下の病変でもsm癌が41病変中15病変,37%あり,比較的小さな時期にsmへと浸潤する傾向がみられた.大きさとUlの有無をみると2cm以下で41病変中17病変,41%にUlがみられ,小さな病変でもUlを形成しやすい傾向がみられた.LP型癌の早期の段階がsm癌で粘膜面よりsm以下での浸潤範囲の広範なもの,あるいは潰瘍を伴わないsm癌がその可能性があるものと考えるが経験された症例では非常に少ない.ルーチンX線検査で単発例では前壁,後壁とも25%の見逃しがみられ,後壁でも見逃されやすく,ひだ集中の有無と見逃しとには関係が少なかった.胃底腺領域内の早期癌の多発例は21%と頻度が高く,診断上注意する必要がある.胃底腺領域内の早期癌のX線像の特徴は浅い不整形の陥凹であり,内視鏡像の特徴は褪色である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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