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文献詳細

雑誌文献

胃と腸22巻9号

1987年09月発行

文献概要

今月の主題 胃底腺領域の癌―Ⅱcを中心として 主題

胃未分化型癌細胞発生とそれに引き続く癌細胞の生体生着様式

著者: 斎藤洋子1 中村恭一1 牧野哲也2 西沢護2

所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理 2東京都がん検診センター

ページ範囲:P.1061 - P.1071

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要旨 ヒト胃未分化型癌細胞の発生とそれに引き続く癌細胞の生体生着様式について,径2mm以下の微小癌21個を用いて検討した.従来の学説として“癌細胞は正常腺管上皮の細胞新生機序により生体から排除される”ことを前提とした村上らの“二層構造説”(1978)と藤田の“囊胞化腺管内の淀み上皮細胞の癌化説”(1981)があるが,今回の検討からは次の結論が得られた.①未分化型癌細胞は粘膜萎縮の有無とは無関係に,胃底腺または幽門腺の腺管頸部の細胞分裂帯で発生する.②発生した癌細胞は上皮の流れによって生体から排除されずに腺管頸部の上皮内で分裂増殖する.③未分化型癌細胞は基底膜の形成が極めて弱いため腺管頸部の破壊が生じ,癌細胞は粘膜固有層内に存在するようになる.④未分化型癌細胞は多中心性発生であることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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