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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻1号

1988年01月発行

文献概要

今月の主題 X線・内視鏡所見と切除標本・病理所見との対比(胃) 序説

X線・内視鏡所見と切除標本所見との対比はなぜ必要か

著者: 白壁彦夫1

所属機関: 1早期胃がん検診協会中央診療所

ページ範囲:P.11 - P.12

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 切除標本は,よい教師だ

 X線診断の立場から言うと,病変を描出する勉強には,切際標本は最良の教師である.術後像をきれいに撮ることすら,難しいことが,よくある.事実,食道早期癌epの病像を如実に術後像上に写し出すのは,これこそ,とても難しい.これを,術前の検査で写し出そうとするのだから,術前のX線的描写が大変なのは言うまでもない.したがって,epの診断の進歩が思うにまかせないところである.でも,胃であれ,大腸であれ,良い術後像を撮る習練は,診断と鑑別診断を行ううえで,理想像を頭にたたき込むには,最良の教師に会うようなものである.すぐに,目に見えての効果は得られないが,確かな診断力の目が決まる.本物を見分ける眼力がつく.

 以前の経験だが,胃と腸で無数の術後像を撮り,さて,その中で,診断は言うに及ばず,鑑別診断上からみても最良な像はどれか,と選んでみると,たったの二,三枚しかなかった.その二,三枚の像と同じ写真を,ドイツの教科書にみるのであった.ドイツの消化管X線診断学は,これこそがX線診断の王道を歩んでいるのだな,と感歎したものであった.当時,本邦の写真と言えば,ただ撮りまくったというだけのものだった.彼我の診断学の格段の差を痛感したものであった.それからは,ドイツの教科書の写真だけをみる努力をしたものである.国際的にみて,上記の傾向は,今でもある.一口に言って,X線診断と内視鏡診断の比較の話のときに,常に留意しておかないと,とぼけたお話になってしまう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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