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書評「よき臨床医をめざして―全人的アプローチ」 フリーアクセス
著者: 柴田進1
所属機関: 1川崎医科大学
ページ範囲:P.54 - P.54
文献購入ページに移動訳者がいみじくも言っておられるごとく,わが国の臨床医学教育の大きい欠陥の1つは学生に対する診断学の重点が鑑別診断に集中され,患者への応対,主訴および病歴の聴取,および理学的所見の取り方の実際をゆるがせにしていることである.ましてや,大学病院の患者がタマルティ名誉教授が指摘されているように“頭のきれる人でも患者になると鈍感な人間になり,医師から言われたことをすぐ忘れてしまい,あまり一度に沢山のことを言われるとたちまち混乱し,対話の中でも自分の考えに合っているか,自分に快適な部分しか記憶にとどめない”ところの,不安と緊張におののいている劣等学生に比すべき人物になり,専門家を無条件に尊敬したがっている事実などをわが国の医学生は診断学で教えられていないだろう.
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