icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻1号

1988年01月発行

文献概要

今月の主題 X線・内視鏡所見と切除標本・病理所見との対比(胃) 主題

早期胃癌における内視鏡所見と切除標本所見との対比

著者: 八尾恒良1 溝口幹朗2 岡田光男1 今村健三郎1 中林正一1 前田和弘1 二見喜太郎1 有馬純孝3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院内科 2福岡大学筑紫病院病理 3福岡大学筑紫病院外科

ページ範囲:P.55 - P.66

文献購入ページに移動
要旨 胃癌の内視鏡所見と切除標本の対比は,切り出し写真上の線上に,対応する病理組織所見,すなわち癌の浸潤範囲と浸潤様式を記入し,その所見をもとにホルマリン固定後の切除胃肉眼標本写真上に,“面”としての胃癌の浸潤範囲を記人することから始まる.この立体再構築された所見と内視鏡所見との対比は,種々の問題点があるにせよ内視鏡診断の向上のためには必要不可欠である.上記の方法について解説し,陥凹型早期癌自験例36病変の切除標本と内視鏡所見を対比した.そして以前に発表した成績も合わせて以下の結論を得た.1.未分化型癌について:①粘膜内の癌巣が厚い場所では,肉眼標本上陥凹を呈し,内視鏡所見上褪色を示すものがほとんどである.②病巣が薄い場所では肉眼標本上も内視鏡所見上も非癌部と差はなく診断不能である.③病巣中の発赤は再生上皮や取り残しに起因し,その周辺に褪色を伴うことが多い.④色素散布法は陥凹や小区像の差を明瞭にし診断に有用である.2.分化型癌について:①粘膜内癌巣の厚さとは関係なく,内視鏡写真上の色調は発赤を示すものや周辺と不変であるものが多い.②肉眼所見上病変範囲の診断が難しいのに,内視鏡写真上は血管透視像など微細模様の消失によって癌の浸潤範囲を診断できるものがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?