今月の主題 食道癌の発育進展―逆追跡症例を中心に
主題
食道癌のretrospective study―X線診断の立場から
著者:
八巻悟郎1
白壁彦夫2
碓井芳樹3
七海暁男1
秋山洋4
福地創太郎5
鶴丸昌彦4
原満6
海上雅光6
丸山雅一7
所属機関:
1虎の門病院放射線診断学科
2早期胃がん検診協会中央診療所
3順天堂大学医学部消化器内科
4虎の門病院消化器外科
5虎の門病院消化器科
6虎の門病院病理学科
7癌研究会附属病院内科
ページ範囲:P.1187 - P.1197
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要旨 retrospective studyを行う前に,まず,X線診断に必要な病理学的事項を調べた.過去14年10か月の間に得た術前未治療の食道癌239例300病変の原発性多発癌巣,および上皮内伸展(以下ie)について頻度,拡がり・大きさなどを深達度別に検討した.多発例が18.0%,ieは56.3%にみられ,拡がり・大きさに規則性はなかった.これらに対応するX線診断は今日ではまだない.したがって,retrospective study上,癌の進展を確実に論ずるのは不可能で,肉眼形態の変化を論ずるのがせいぜいである.隆起がはっきりしてきたとか,隆起中央の陥凹がはっきりしてきたことしか断言しえないという結論である.