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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻11号

1988年11月発行

今月の主題 食道癌の発育進展―逆追跡症例を中心に

主題

逆追跡症例からみた食道癌の発育進展―X線像を中心に

著者: 山田明義1 石井洋治1 井手博子1 村田洋子1 小林誠一郎1 羽生富士夫1 荻野知巳1 杉山明憲1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.1199 - P.1207

文献概要

要旨 東京女子医科大学消化器病センターにおいて切除時あるいは診断確定時より5か月~2年2か月遡った時点でのX線像の中に癌と診断しうる所見を読み取ることのできた食道癌13例についてそのX線像を中心に発育形態を中心に検討した.初回のX線像が表在平坦型~びらん様陥凹型と判定された症例6例中2回目以後のX線像で表在平坦型にとどまる症例は1例のみであり,表在隆起型となった症例2例,表在陥凹型を示した症例1例,鋸歯型など潰瘍型を示した症例2例である.表在隆起型の2例は陥凹像が出現し,表在陥凹型~鋸歯型を示している.表在陥凹型の4例は1例は表在陥凹型にとどまっているが,3例は鋸歯型へと進展している.X線像による深達度診断基準に基づきm癌と推定された症例が,sm癌にまで進行したと診断されるまでの期間は短い症例で7か月,長い症例で10か月である.6か月以上という比較的長期間にわたり,smにとどまっているものと思われる.smから外膜に達するまでは8か月から2年2か月と症例により差があるようである.表在平坦型・びらん様陥凹型などを示し,主に表層性に進展した症例は脈管侵襲も少なく,リンパ節転移も認めない.これに対して径の増大よりも,像が明瞭となり,深部への進展が窺われる症例は,いずれも遠隔リンパ節転移が存在する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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