icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻12号

1988年12月発行

文献概要

今月の主題 腸管の悪性リンパ腫(1) 主題症例

十二指腸球部の早期悪性リンパ腫の1例

著者: 渋木諭1 渡辺英伸2 藤田直孝3

所属機関: 1宮城県対がん協会がん検診センター 2新潟大学医学部第1病理 3仙台市医療センター

ページ範囲:P.1363 - P.1367

文献購入ページに移動
要旨 患者は,65歳,男性.健診の目的で上部消化管内視鏡検査を行ったところ,十二指腸球部にびらん性病変が認められ,鉗子生検で悪性リンパ腫の疑いと診断された.半年後の第2回目鉗子生検で悪性リンパ腫と診断された.切除標本では,襞集中を伴う浅い陥凹性病変とその周辺に黄白色の腫大粘膜が認められた.組織像では,生検によるUl-Ⅱの小潰瘍瘢痕を認めたが,肉眼的陥凹部や粘膜腫大部には非腫瘍性リンパ濾胞の増生があり,その周辺(marginal zone)から腫瘍が発生していた.腫瘍は中細胞から成るB細胞型悪性リンパ腫で,深達度smまでの早期悪性リンパ腫であった.本例は,ごく早期の十二指腸marginal zone lymphomaとして世界でも最初の報告と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?