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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻12号

1988年12月発行

文献概要

今月の主題 腸管の悪性リンパ腫(1) 主題症例

炎症性疾患との鑑別を要した小腸原発性悪性リンパ腫の1例

著者: 石川勉1 関口隆三1 水口安則1 縄野繁1 牛尾恭輔1 山田達哉1 板橋正幸2 廣田映五2 森谷冝晧3

所属機関: 1国立がんセンター放射線診断部 2国立がんセンター研究所病理部 3国立がんセンター外科

ページ範囲:P.1369 - P.1373

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要旨 患者は55歳,男性.主訴は繰り返す下血と腹痛.小腸X線検査で空腸に単発性の狭窄像を認めた.狭窄部の中央には腸管の短軸方向に伸びる潰瘍と変形がみられ,その周囲には粗大な顆粒像が平板状に拡がっていた.個々の顆粒像の立ち上がりはなだらかで,表面は平滑であり,粘膜下腫瘍様の所見を呈していた.肉眼所見および術後X線所見でも潰瘍とその周囲に拡がる顆粒像が確認され,組織学的検索で病変部に一致して悪性リンパ腫の像が認められた.本症例は腸管の横軸方向に伸びる潰瘍のX線所見のため,小腸の潰瘍形成を示す炎症性疾患,特に腸結核との鑑別が必要であったが,潰瘍周囲にみられた粗大顆粒像が粘膜下腫瘍様所見を示すことから,術前に悪性リンパ腫の診断を得ることが可能であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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