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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻2号

1988年02月発行

今月の主題 消化管のアミロイドーシス(2)

主題

小腸アミロイドーシスの治療と経過

著者: 飯田三雄1 多田修治1 八尾恒良2 渕上忠彦3 岩下明徳4 山本勉5 重松明博1 松井敏幸1 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡大学筑紫病院内科 3松山赤十字病院消化器科 4松山赤十字病院病理 5福岡大学医学部第1内科

ページ範囲:P.133 - P.143

文献概要

要旨 十二指腸~空腸にアミロイド沈着が確認された11例を対象とし,治療経過と予後を検討した.麻痺性イレウスを呈した8例では,平均2.8か月間の完全静脈栄養(TPN)が臨床症状の改善のみならず,X線および内視鏡像の著明な改善をもたらした.すなわち,TPN治療後の小腸二重造影像では,治療前に認められた結節状陰影が完全に消失し,微細顆粒状隆起の多発から成る粘膜粗糙像に変化していた.TPN後の長期予後は良好であり,平均4.3年の間イレウス症状の再発はみられなかった.一方,中等度~高度の腹部症状を欠く慢性期の患者8例の小腸X線像は,平均2.7年の経過観察中ほとんど不変であった.以上の成績より,急性期に出現する結節状陰影は粘膜下層の虚血性変化を反映した所見であるのに対し,慢性期に描出される微細顆粒状隆起はアミロイド沈着を直接反映した所見であると推測された.したがって,後者は本症の早期診断上極めて重要な所見と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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