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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻2号

1988年02月発行

文献概要

今月の主題 消化管のアミロイドーシス(2) 主題症例

8年間に病像の進展がみられた胃の限局性アミロイドーシスの1例

著者: 加藤俊幸1 斎藤征史1 丹羽正之1 小越和栄1 梨本篤2 加藤清2 角田弘3

所属機関: 1県立がんセンター新潟病院内科 2県立がんセンター新潟病院外科 3県立がんセンター新潟病院病理検査科

ページ範囲:P.211 - P.216

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要旨 患者は51歳の女性で,1979年11月の胃集検で前庭部の異常を指摘された.胃X線,内視鏡検査では,前庭部の粘膜は浮腫状で中心陥凹を伴う小丘状隆起が多発しており,たこいぼ状胃炎と診断された.しかし,胃X線検査による8年間の経過観察では,小隆起が胃角部まで拡がり,皺襞が肥厚し辺縁不整となり前庭部の伸展性が徐々に失われ,スキルス様所見となってきた.1987年4月の内視鏡検査では胃体中部から前庭部にかけて粘膜は浮腫状で光沢があり,顆粒状から結節状の大小不同の隆起も密になり,びらん・陥凹が多発していた.悪性リンパ腫が疑われたが,生検で粘膜下組織に均質無構造物質の沈着を認め,アミロイド物質と診断された.また食道,胃体上部,十二指腸,結腸,直腸の生検では同物質の沈着を認めず,ほかに原因疾患の合併もないことから,胃に限局したアミロイドーシスと診断し,胃全摘術を施行した.粘膜面にはびらんや出血が多発しており,胃体中部から前庭部には,粘膜下層を主体に粘膜筋板から筋層にかけて多量のAL(λ)蛋白のアミロイド物質が沈着していた.なお術中肝生検組織にはアミロイド沈着はみられなかったが,胃体中部小彎側の所属リンパ節には沈着を認めた.以上の所見から本症例は胃原発の限局性アミロイドーシスのまれな症例と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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