文献詳細
症例
文献概要
要旨 患者は71歳の女性.約36年間嚥下時胸痛を認め,糖尿病と胆石症を合併した.術前にはカルチノイドの症状はなく,血中セロトニンは低値であった.上部食道に中心陥凹を伴う小粘膜下腫瘍を認め,内視鏡的ポリペクトミーを行い,7mm径のカルチノイドであった.組織学的に小型細胞の結節状充実巣を主とし,銀好性反応陽性で,電顕像で分泌顆粒を認めた.術後,胸痛は消失し,2年9か月後再発を認めない.食道カルチノイドはまれで,国内外10例の報告中,本例は最小例であった.本邦消化管カルチノイドのポリペクトミー例の検討から10mm以下で山田Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ型のものは予後良好で,ポリペクトミーだけで根治できる可能性があると考えられた.
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