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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻4号

1988年04月発行

文献概要

今月の主題 内視鏡的胃粘膜切除の臨床―ジャンボ・バイオプシーをめぐって 主題

治療内視鏡法としてのstrip biopsyの意義

著者: 多田正弘1 苅田幹夫1 柳井秀雄1 川野博章1 竹本忠良1

所属機関: 1山口大学医学部第1内科

ページ範囲:P.373 - P.385

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要旨 strip biopsyは,病巣を切除および回収できるという治療内視鏡法の新しい方向性を生み出した.われわれは,2cm以下の潰瘍を有しない深達度mの高分化型腺癌を本法による治療の適応と考え,検討してきた.この治療効果を明らかにするには,strip biopsyによって切除された切除標本で癌病巣が残存なく切除できているという判断基準が必要となる.そのため切除標本を実体顕微鏡下に観察して病巣の境界を明らかにし,病巣の境界がより切除断端に接している部位を中心にして,連続切片を作製して検討した.その結果この病理組織標本において,両端に正常腺管が数腺管存在し,深達度がmに限局しているものを完全切除とした.この完全切除基準の設定は,strip biopsy後に外科手術を施行した38症例,また手術ができないという身体的条件のもとに経過観察を行っている71症例において,妥当であることが明らかになった.このように,高分化型腺癌を対象とした完全切除の基準は胃粘膜における局所の切除が完全である基準として評価できた.また,この経時観察の成績により,われわれの設定した条件下であれば,strip biopsyによる内視鏡的治療法は外科手術と同等の治療法として評価しうるものと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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