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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻4号

1988年04月発行

文献概要

今月の主題 内視鏡的胃粘膜切除の臨床―ジャンボ・バイオプシーをめぐって 主題

endoscopic double snare polypectomy(EDSP)の方法と評価

著者: 竹腰隆男1 藤井彰1 高木國夫2 馬場保昌1 加藤洋3 柳沢昭夫3

所属機関: 1癌研究会付属病院内科 2癌研究会付属病院外科 3癌研究会付属病院研究所病理部

ページ範囲:P.387 - P.398

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要旨 従来の内視鏡的ポリペクトミーは1本のスネアで有茎性病変になされていた.広基性病変や陥凹性病変の内視鏡的粘膜切除が可能であるendoscopic double snare polypectomyを考案し,隆起性異型上皮巣83病変,陥凹性異型上皮巣3病変,Ⅱa 65病変,Ⅱc 33病変の内視鏡的切除を施行した.隆起性病変2cm以下,陥凹性病変1cm以下のほとんどの症例(前者119/128=93%,後者21/21=100%)が一括切除され,他は分割切除であった.分割切除法では回収標本の再構築が難しく,完全摘除か否かの判定が曖昧となり根治を目指した本法では避けるべきである.一括切除法の遠隔成績は,初回内視鏡的切除治癒は異型上皮巣92%(67/73),Ⅱa 81.8%(45/55),Ⅱc 86.7%(26/30)であり,遺残率は異型上皮巣8.2%,Ⅱa 14.6%,Ⅱc 10%,再発率はそれぞれ0%,3.6%(2/55),3.3%(1/30)であった.遺残例の58.8%(10/17)は内視鏡的再切除で治癒し,手術施行例は断端面の粘膜下組織内癌遺残5例を含め7例(7/161=4.3%)であった.したがって最終的な内視鏡的切除治癒率は95%(153/161)と満足すべき良好な成績であり,根治療法としての有用性が確認された.再発例の回収切除標本および胃生検標本のretrospectiveな検討では挫滅組織内の癌や切り出し不足による癌の見逃し,あるいは切除後胃生検で癌を再生異型と誤診したもので,再発でなく遺残であった.遺残例の多くはⅡaでは2cm以上,Ⅱcでは分化型でも1cm以上か未分化型癌であった.したがってこれら病変は技術的な内視鏡的切除の非適応病変とすべきである.なお,本対象胃癌例の14.4%(13/90)に多発胃癌,異型上皮巣との合併を4例(4.4%)に認め,それらの13病変は内視鏡的切除で治癒した.内視鏡的切除前および切除後のfonow-upでも常に多発病変,殊に多発癌の存在に注意することが肝要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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