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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻5号

1988年05月発行

文献概要

今月の主題 胃・十二指腸潰瘍と超音波内視鏡 主題

十二指腸潰瘍の超音波内視鏡像

著者: 相部剛1 中田和孝1 野口隆義1 藤村寛1 大谷達夫1 伊藤忠彦1 播磨健三1 富士匡1 竹本忠良1

所属機関: 1山口大学医学部第1内科

ページ範囲:P.519 - P.524

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要旨 水浸下EUSを施行した十二指腸潰瘍切除標本1例,EUSを施行した臨床例13例を対象として,十二指腸潰瘍の診断におけるEUSの有用性を検討した.切除標本ではEUSによる深さの判定と組織所見との一致をみた.臨床的検討においては,対象症例13例のうち,定期的な通常内視鏡観察が可能であった10例中9例が,年齢・性別,潰瘍の既往歴,使用薬剤,EUSで判定した潰瘍の深さに関係なく,8週間以内に瘢痕化した.H2-blockerを使用した1例(Ul-Ⅳ)のみが10週を経過しても瘢痕化せず,外科手術となった.この症例の治癒期のEUS像では,潰瘍底深部に低エコーがみられるという特徴が存在した.潰瘍の深さがUl-Ⅳの他のH2-blocker使用例3例には,この所見がなく,いずれも4週もしくは8週以内に瘢痕化した.十二指腸潰瘍のEUSにおいて,治癒期にみられる潰瘍底深部の低エコー所見は,H2-blockerに難治性あるいは抵抗性を示す潰瘍を診断するうえで重要な所見になると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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