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今月の主題 びまん浸潤型大腸癌と転移性大腸癌
主題
文献概要
要旨 1977年大腸癌取扱い規約で,大腸に原発するlinitis plastica癌は,びまん浸潤型大腸癌に統一され,その臨床および病理学的特徴が徐々に明らかにされつつある.筆者らはこの範疇に属する大腸癌を過去13年間に12例経験し,大腸癌全体に占める頻度は1.8%であった.平均年齢は51.5歳と若年に多い傾向にあり,男女比は2:10と圧倒的に女性に多い.発生部位は直腸,S状結腸が10例(83.5%)と下部大腸に多く,予後も不良で,早期発見も困難を極めている.本症はlong segmentにわたる腸管の狭窄,硬化,不整を特徴とし,たとえ完成された病変であっても炎症性疾患との鑑別に苦慮する症例もまれならず経験されている.本稿では自験例を中心に本症の診断上の問題点,今後の早期像の解明の重要性につき述べた.
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