icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻6号

1988年06月発行

今月の主題 びまん浸潤型大腸癌と転移性大腸癌

主題

転移性大腸癌の臨床病理

著者: 太田博俊1 畦倉薫 関誠1 高木国夫1 西満正1 丸山雅一2 柳沢昭夫3 加藤洋3

所属機関: 1癌研究会付属病院外科 2癌研究会付属病院内科 3癌研究会付属病院病理

ページ範囲:P.633 - P.643

文献概要

要旨 転移性大腸癌93例の内訳は原発癌手術例66例(71%)で,そのうち転移性大腸癌手術例はわずか17例(26%)であった.その17例中,大腸転移部を再切除できたものは5例(29%)であった.すなわち転移性大腸癌の転移部再切除率は5.4%(5/93)であった.胃癌からの大腸転移が一番多く,61例であり,次いで婦人科領域の癌であった.最も多かった転移部位は横行結腸で,次いでS状結腸,直腸の順であり,この3区域で80%を占めていた.原発性大腸癌のほとんどは限局型でpapillaryな形態であるが,転移性大腸癌は粘膜下に浸潤波及する浸潤型を示し,その約30%は多発していた.再発転移を早期と晩期に分けて検討したが,早期転移再発は若年者に多く,大腸転移以外の転移因子も加わり,再手術率が低かった.晩期転移再発例は,癌の遺残が少ないこと,癌の進行発育が遅いこと,などが考えられ,再手術される率も高かった.胃癌漿膜面露出例の治療方法と手術後の制癌剤投与の改善が,大腸転移の予防と予後の向上につながるものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら