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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻6号

1988年06月発行

文献概要

今月の主題 びまん浸潤型大腸癌と転移性大腸癌 主題症例

上行結腸に原発した大腸linitis plastica型硬性癌の1例

著者: 松井敏幸1 飯田三雄 重松明博1 藤島正敏1 木村豊2 武末昌治2 酒井輝男2 山口幸二3 岩下明徳4

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2木村外科病院 3九州大学医学部第2病理 4松山赤十字病院病理

ページ範囲:P.655 - P.661

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要旨 65歳,女性.上腹部痛を主訴として来院.注腸造影で回盲部の短縮,狭窄著しく,粘膜破壊像高度,肝彎曲部には結腸紐に一致して短縮所見あり.胃内視鏡で異常なし.腹部超音波・CTで回盲部の著しい肥厚.血管造影で腸管壁肥厚と壁内枝の蛇行.右半結腸切除術にて腹腔内播種を認む.病理所見で回盲部は印環細胞癌を含む低分化腺癌,肛門側は結腸紐に沿い浸潤を認む.上行結腸にⅡa+Ⅱc型の高分化腺癌があり,低分化腺癌との移行を示すことから,病理学的に原発巣と推定した.びまん浸潤型大腸癌はまれな疾患で,本邦では80余例の報告をみるにすぎない.その大部分は直腸・S状結腸に限局し,本症例のごとく盲腸・上行結腸原発例は本邦で3例,欧米で10例にすぎない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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