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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻6号

1988年06月発行

今月の主題 びまん浸潤型大腸癌と転移性大腸癌

主題症例

術後5年目に発症した回盲部に限局した胃癌の結腸転移の1例―いわゆるlinitis plastica型大腸癌と炎症性腸疾患のX線所見の対比を中心に

著者: 岡部聡1 金子慶虎1 竹村克二1 五関謹秀1 遠藤光男1 神山隆一2

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第1外科 2東京医科歯科大学病院病理部

ページ範囲:P.663 - P.670

文献概要

要旨 5年前に進行胃癌で胃全摘術を施行された49歳の女性が右下腹部腫瘤を主訴に来院.注腸二重造影を行ったところ,回盲部を中心に粗大穎粒状粘膜像,腸管腔の狭小化,鋸歯状陰影を認めたが,大腸ファイバースコープ,上腸間膜動脈造影,腹部CTスキャンなどの画像診断では明らかな悪性所見が得られず,また腫瘍マーカーも正常範囲内であり,術前には炎症性腸疾患(IBD)と結腸癌との鑑別はできなかった.開腹術を行ったところ,Schnitzler転移を認めたが,回盲部切除により結腸癌は切除できた.組織学的には,著明な線維の増生を伴う低分化型腺癌が粘膜下層から漿膜にかけて認められたが,軽度の粘膜固有層内への浸潤はあるものの粘膜表面への癌の露出はみられなかった.linitis plastica型結腸癌とIBDとの鑑別には,注腸X線造影上,①不規則な粗大顆粒状粘膜像,②腸管壁の著明な伸展不良,③陰影欠損を伴う腸管の変形などの所見が有用であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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