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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻6号

1988年06月発行

症例

いわゆる梅毒性胃炎と早期胃癌の併存した1例

著者: 佐藤治1 鎌田満2 後藤昌司1 石川洋子1 小岡文志1 鈴木昇1 小野満1

所属機関: 1岩手県立中央病院消化器科 2岩手県立中央病院病理

ページ範囲:P.683 - P.690

文献概要

要旨 患者は48歳,男性.1983年6月ごろより,左前胸部痛,心窩部不快感あり.このころ,左前胸部から腹部にかけて発疹が出現したが約1週間で消失した.更に時々嘔気あり当科受診.胃X線,内視鏡検査で幽門前庭部に全周性に浅い陥凹病変と,その中に結節状の残存粘膜島が存在していた.体下部前壁側に皺襞集中を有する陥凹病変を認めた.血清梅毒反応はガラス板法32倍以上,緒方法640倍以上,TPHA法2,560倍以上であった.体下部前壁側の病変はⅡc型早期胃癌と診断,幽門前庭部の病変は梅毒性胃炎を疑いAMPC1,000mg/日,28日間投与の駆梅療法を行ったが所見の改善を得られず,早期胃癌併存のため胃切除術を施行した.切除胃の組織学的所見は幽門前庭部から胃角にかけて粘膜層~粘膜下層に著明な形質細胞を主体とした炎症性細胞浸潤を,一部では血管周囲炎を認めた.特異性肉芽腫は存在しなかったが,総合的に第2期梅毒の胃病変が強く示唆された.早期胃癌はⅡc,印環細胞癌,深達度m,INF-α,v0,ly0で大きさ15×10mmであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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