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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻6号

1988年06月発行

文献概要

症例

回盲部放線菌症の1例

著者: 小川芳明1 久留哲夫2 岐部明廣2 河田俊一郎2 籾井真美2

所属機関: 1九州大学医学部第1外科 2東国東地域国保総合病院外科

ページ範囲:P.691 - P.695

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要旨 患者は40歳男性で,右下腹部腫瘤と微熱を主訴として入院となった.一般検査成績では,白血球増多と赤沈の亢進がみられた.腹部超音波検査およびCTにより,回盲部に接した不均一な実質性腫瘤が描出され,内部に液貯溜を伴っていた.点滴静注腎盂造影では,右尿管の左方への圧排がみられた.逆行性注腸造影には異常は認めなかった.手術時,手掌大の炎症性腫瘤が回盲部に管外性に生じ,内部に小膿瘍が多発していた.回盲部切除術を施行し,切除標本の病理組織で特徴的な菌塊(sulfur granule)が証明され,放線菌症と診断された.腫瘤内の膿の一般細菌培養は陰性であった.術後,penicillin系抗生剤の長期投与を行い,経過良好であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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