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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻6号

1988年06月発行

初心者講座 食道検査法・6

食道入口部のX線診断

著者: 山本勇1 小林茂雄1 平田貴1 有賀明子1 小谷庸一1 川名正直1

所属機関: 1帝京大学市原病院放射線科

ページ範囲:P.697 - P.702

文献概要

 はじめに

 今回の講座の意図は,食道癌の早期発見方法の総まとめだが,X線検査法に限って言えば,粘膜内癌(ep癌)のような極めて初期の癌の発見にはほとんど役に立たず,ルゴール染色法を併用した内視鏡検査法に大きく水を開けられているのが現状である.粘膜固有層に止まる癌(mm癌)になれば,X線検査法でもかなりの高率で拾い上げ診断が可能となることは報告した1)が,これもX線検査が先行した症例の検討であり,もし内視鏡検査が先行していたら,おそらく100%が診断可能だろう.X線診断医の一縷の望みは,上部消化管のルーチン検査として今なおバリウム造影が数多く施行されていることであり,この大きな母集団の中から食道早期癌を確実に見つけられる検査体系を確立できれば生き延びるチャンスはある.

 ルーチンの食道検査法は胃内を発泡錠で拡張させた後,立位でバリウムを飲ませて撮影する.撮影方向は椎体と重ならないような斜位が多いが,その角度や撮影枚数などは特に決まっているわけではない.微細病変の診断には二重造影像が不可欠だが,食道全長を確実に撮れる頻度は低く,下部食道のバリウムの中に埋もれた病巣は,常に見逃される危険を孕んでいる.経鼻チューブを全例に挿入すれば二重造影像は必ず撮れるが,ルーチン検査でそこまでできるかという問題があり,これも解決策は見つかっていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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