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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻7号

1988年07月発行

今月の主題 微小胃癌診断―10年の進歩

主題

微小胃癌診断のコツ―肉眼所見と対比して―内視鏡の立場から

著者: 早川和雄1 橋本光代1 吉田行哉1 星原芳雄1 福地創太郎1 惣名司2 小川高伴2 海上雅光3

所属機関: 1虎の門病院消化器科 2虎の門病院内視鏡室 3虎の門病院病理学科

ページ範囲:P.757 - P.773

文献概要

要旨 微小胃癌の内視鏡診断について,内視鏡所見と切除胃標本の肉眼所見および組織所見を対比し,小胃癌の所見とも合わせて検討した.微小胃癌64病変中27病変(42.2%),小胃癌73病変中55病変(75.3%)を内視鏡および生検で術前に診断しえた.術前に診断しえた微小胃癌の40.7%は,切除標本で肉眼的に確認できず,微小胃癌全体では59.4%が確認できなかった.径3mm以下の微小胃癌の術前診断率は41%,3超~5mmでは44%であったが,3超~5mmになるとⅡb型を除き注意深い観察で診断は可能と思われた.術前に診断した小胃癌では切除標本上,ほとんど肉眼的に観察できたが,小胃癌全体では8.2%が肉眼的に確認できなかった.Ⅱa型微小胃癌の内視鏡所見は軽度の広基性隆起で,表面平滑で白色調のものが多く,小胃癌になると平盤状や半球状となり,表面に不規則な顆粒状凹凸やびらんを伴うことが多くなる.Ⅱc型では不整な陥凹の辺縁に,粗大顆粒状の凹凸を有する隆起を伴う所見が分化型癌の特徴と言えた。皺襞集中はないかあっても軽度で,小胃癌になると辺縁不整や辺縁隆起がより明瞭となり,陥凹面にも凹凸が認められることが多くなる.微小胃癌の内視鏡像と切除標本の肉眼所見は,おおむね対応するものであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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