icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻7号

1988年07月発行

文献概要

今月の主題 微小胃癌診断―10年の進歩 研究

小さい早期胃癌の病理組織学的研究―胃癌の組織発生の解明のために

著者: 喜納勇1 高梨利一郎2 廣瀬敏樹2

所属機関: 1浜松医科大学第1病理 2三井記念病院病理

ページ範囲:P.801 - P.809

文献購入ページに移動
要旨 ほとんどすべて臨床的に見出された直径2cm以下の早期胃癌112例について,胃粘膜領域別に,組織型と周辺粘膜の腸上皮化生との関連を中心に検索し,癌の組織発生について考察した.胃底腺領域では,未分化型癌は腸上皮化生のない胃底腺を発生母地としていた.また,分化型癌の大部分では,軽度の腸上皮化生を伴う胃底腺から発生していた.未分化型癌と分化型癌の頻度はほぼ同じであった.中間帯では,未分化型癌は腸上皮化生を有しないか化生が軽度の粘膜を発生母地としていた.また,分化型癌の背景粘膜は腸上皮化生を中等度以上示すことが多かった.幽門腺領域では大部分の背景粘膜に中等度以上の腸上皮化生がみられたが,未分化型癌では一定の傾向はなかった.幽門輪から2cm以内の癌の大部分は,腸上皮化生の有無に関係なく,分化型癌であった.これらの検索から,未分化型癌は固有胃腺から,分化型癌は化生腸上皮から発生するという胃癌の組織発生の鳥瞰的概念は修正を必要とすべきことがわかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?