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文献詳細

雑誌文献

胃と腸23巻8号

1988年08月発行

文献概要

今月の主題 小さな膵癌―小病変の鑑別診断をめぐって 誌上パネルディスカッション 主題症例

主膵管内に限局する微小な膵頭部癌の1例

著者: 佐伯啓三1 政信太郎1 尾辻真人1 青崎真一郎1 唐仁原寛1 丸田修士1 山筋忠1 美園俊明1 西俣嘉人1 橋本修治1 山下正策2 肝付兼達3

所属機関: 1鹿児島大学医学部第2内科 2天保山記念病院内科 3鹿児島共済会南風病院外科

ページ範囲:P.851 - P.856

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要旨 一過性の左季肋部痛と血清アミラーゼの上昇を契機にERCPを施行し,内視鏡的膵管生検により術前診断された,主膵管内に限局する径5mmの微小な膵頭部癌の1切除例を経験した.患者は63歳,女性で,CEA,CA19-9は正常,超音波検査,CTで体部主膵管の軽度の拡張を認めた.ERCPでは主膵管内に類円形の透亮像が描出され,内視鏡的膵管生検で組織学的に癌と診断された.血管造影では癌の所見を認めなかった.癌は主膵管内で乳頭状に発育し,組織学的には低分化型腺癌と考えられた.また,主病巣と離れた膵管にも異型上皮がみられ,多中心性の癌発生を否定できなかった.本症例の概要と共に,膵癌早期診断の手法について若干の文献的考察を加え報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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