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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻1号

1989年01月発行

文献概要

症例

診断困難であった胃の高分化型腺癌の1例

著者: 八百坂透1 佐藤隆啓1 川端規弘1 夏井清人1 大村卓味1 杉本友照1 小井戸一光1 近間敏治1 堀田彰一1 塚越洋元1 須賀俊博1 村島義男1 管野紀明2 小松正伸2 川村健2 細川正夫2 佐藤利宏3

所属機関: 1札幌厚生病院消化器科 2恵佑会札幌病院 3札幌厚生病院臨床病理科

ページ範囲:P.81 - P.87

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要旨 53歳男性の胃体下部前壁に発生した進行癌の1例を報告する.高分化型腺癌で深達度ssβ,ly2,V0,n1(+)であった.本症例はX線検査,内視鏡検査,および超音波内視鏡検査により肉眼的には粘膜下腫瘍が強く考えられたもので,頻回の生検組織診も癌を証明しえなかった.生検標本を後から見直してもなかなか癌と同定できなかったが,これは癌腫瘤表面が非常に分化した組織像であったためである.このため肉眼的にも表面粘膜はほとんど正常と変わらず,粘膜下腫瘍と考えられた次第である。本例のような胃癌は極めて少ないが,最近類似した報告もあり,このような症例も念頭に置いて胃癌診断を進めるべきと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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