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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻10号

1989年10月発行

今月の主題 分類困難な腸の炎症性疾患

主題

病理からみた分類困難な炎症性腸疾患

著者: 渡辺英伸1 味岡洋一1 太田玉紀1 本山悌一1 石原法子1 岩渕三哉1 野田裕1

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.1105 - P.1117

文献概要

要旨 外科切除例の初回病理診断で,分類困難腸炎は2%(非腫瘍性腸疾患852例中17例)であった.再検討で,その頻度は0.5%(4/852)となった.訂正診断例は,感染性腸炎(8例),虚血性回腸炎(1例),単純性腸潰瘍(1例),小腸結核(1例),潰瘍性大腸炎(1例),およびYersinia感染症(1例)であった.再検後も分類困難腸炎の4例は,粘膜内病変の完治例,回盲弁上の大腸炎(2例)と多発・発赤・広基の,隆起性病変であった.後二者ないし後一者が新しい型の腸炎と考えられた.初回の分類困難腸炎は,再検討で,そのほとんどが分類可能となった(今回は13/17例76%).分類困難腸炎となる最大の原因は,①診断者の実力不足と,②検索方法・検索精度の不十分さ,とにある.このほかに,③病変の肉眼的特徴を残さない,既知疾患の完治,④既知疾患に合併した二次変化,もある.そして,真の新しい炎症性腸疾患は,今回の検討で,1~2種あると推定された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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