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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻10号

1989年10月発行

文献概要

症例

蛋白漏出が疑われたBorrmann1型胃癌の1例

著者: 渡瀬誠1 野口貞夫1 藤本直樹1 相川隆夫1 篭谷勝己1 柴田信博1 田村茂行1 松岡哲也1 玉井正光2

所属機関: 1西宮市立中央病院外科 2西宮市立中央病院臨床病理科

ページ範囲:P.1187 - P.1192

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要旨 著しい低蛋白血症を伴った胃癌の1例を経験した.大量腹水貯溜を主訴とし,血清総蛋白3.7g/dlと著明な低蛋白血症を呈していた.患者は長期のアルコール飲酒歴を有していたが,肝硬変はなかった.腹水中にも悪性細胞を認めず,癌性腹膜炎は否定された.これらより,アルコール依存のための低栄養状態と考え高カロリー輸液を施行したが低蛋白血症は改善せず,胃癌よりの蛋白漏出性胃症が強く疑われたため胃癌根治術を施行した.胃切除後,血清蛋白は術後1週間で7.7g/dlと著明な改善をみた.組織学的には,腫瘍表面全体が活動性の潰瘍底と同様の変化を呈し,炎症性滲出液の喪失による低蛋白血症を来したと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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