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書評「消化器の分泌と吸収の生理」
著者: 石森章1
所属機関: 1東北大学
ページ範囲:P.1204 - P.1204
文献購入ページに移動 新訳の「消化器の分泌と吸収の生理」は消化器生理学の教科書としては評判の高いSernkaならびにJacobson両教授の共著“Gastrointestinal Physiology―The Essentials”をこの分野における本邦の第一人者,森治樹教授が消化器病学の基礎および臨床における長年の経験を活かして適訳された苦心作である.
消化器生理学は御多分に洩れず活発な研究が展開されており,広範な分野において従来の考え方に変更を迫るような新知見が相次いでいる.このような進歩を広く取り入れ,既存の知識との調和をはかり,体系化することは並大抵ではない.このような意図のもとに多数の専門家を動員した分担執筆という形式で消化器生理学の現状をリアルタイムでまとめようとした解説書は数多く出されているが,首尾一貫した視点からまとめるという意味では新知見の単なる羅列に終わっていることが多い.その点本書は単独執筆の長所が如何なく発揮されている得がたい入門書であり,極めて理解しやすく消化器生理学の全般を把握するのに適している.入門書には違いないが内容の高さはかなりのもので,最新の知見が十分に推敲されてさりげなく適所に組み込まれ,新しい生理学といった印象を与えている点はさすがであり,目をみはるものがある.その理由は,原著のよさもさることながら,訳者の森教授の力に負うところが大きいのであろうと推察している.森教授はニューヨーク医科大学のグラス教授のもとで消化器病学を研究されたが,その成果が巧まずして本書に現れているのではと感ずるのは,同様な体験を有する筆者のみの感慨ではなさそうである.
消化器生理学は御多分に洩れず活発な研究が展開されており,広範な分野において従来の考え方に変更を迫るような新知見が相次いでいる.このような進歩を広く取り入れ,既存の知識との調和をはかり,体系化することは並大抵ではない.このような意図のもとに多数の専門家を動員した分担執筆という形式で消化器生理学の現状をリアルタイムでまとめようとした解説書は数多く出されているが,首尾一貫した視点からまとめるという意味では新知見の単なる羅列に終わっていることが多い.その点本書は単独執筆の長所が如何なく発揮されている得がたい入門書であり,極めて理解しやすく消化器生理学の全般を把握するのに適している.入門書には違いないが内容の高さはかなりのもので,最新の知見が十分に推敲されてさりげなく適所に組み込まれ,新しい生理学といった印象を与えている点はさすがであり,目をみはるものがある.その理由は,原著のよさもさることながら,訳者の森教授の力に負うところが大きいのであろうと推察している.森教授はニューヨーク医科大学のグラス教授のもとで消化器病学を研究されたが,その成果が巧まずして本書に現れているのではと感ずるのは,同様な体験を有する筆者のみの感慨ではなさそうである.
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