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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻11号

1989年11月発行

文献概要

研究

細径パンエンドスコープによる胃癌の診断限界―特に経過観察による分析

著者: 尾辻真人1 河野裕一1 尾辻章宣2 徳重順治3 下鑪研吾3 有村謙七3 西沢護1

所属機関: 1東京都がん検診センター 2尾辻外科胃腸科病院 3鹿児島大学医学部第2内科

ページ範囲:P.1291 - P.1297

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要旨 (1)細径パンエンドスコープ検査により胃癌なしとされたものの中から,その後の経過検査で発見された胃癌は,早期癌では噴門・大彎に少なく,進行癌では噴門・大彎に多かった.経過検査で発見された胃癌の初回内視鏡フィルムをretrospectiveに検討すると噴門・大彎に現れた進行癌は発見までの期間が3年以内と短いものが多く,初回検査でも同じ部位に所見の見られないものが多かった.これらの進行癌は早期癌として発見しにくいだけでなく比較的急速に発育・進展したものと考えられた.また,経過検査で発見された早期癌は期間の長短にかかわらず形態変化に乏しいものが多く,臨床からみて早期胃癌の中には発育・進展の遅いものがあることが推測された.(2)50歳以上の健康人男女9,499人(男5,258人,女4,241人)に細径パンエンドスコープによる胃の検査を行い,男性2.01%(106例),女性0.83%(35例),計1.48%(141例)の胃癌が発見された.その後胃癌なしとされた9,358人の追跡調査を行い,新たに男性19例,女性7例の胃癌が発見された.これらの結果より,細径パンエンドスコープの初回検査時の胃癌の見逃し率は少なくとも7.2%,50歳以上の胃癌の有病率は少なくとも男2.38%,女0.99%と推定された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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