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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻12号

1989年12月発行

今月の主題 小さな未分化型胃癌―分化型と比較して

主題

小さな未分化型胃癌の特徴と組織発生

著者: 石黒信吾1 谷口春生1 辻直子1 建石竜平1 和田昭1

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理検査科

ページ範囲:P.1345 - P.1352

文献概要

要旨 小さな未分化型胃癌の特徴と組織発生を検討するために,胃癌手術例のうち病巣の長径が1cm以下の114例122病巣を用いて検索した.純粋の未分化型癌(por,sig)の肉眼型はすべて陥凹型であり,皺襞集中があるものが多かった.占拠部位は,M領域の小彎に多く,C・A領域にあるものでも前壁・後壁にみられた.癌の発生する背景粘膜は,胃底腺領域と中間帯が多く,腸上皮化生がないか,あっても程度の少ない胃底腺域あるいは胃底腺の萎縮した胃固有粘膜上皮から発生すると思われた.一方,未分化型癌と分化型癌との混合型および腺窩上皮型癌は,臨床病理学的,組織学的にみて,純粋の未分化型癌と同様に,胃固有の粘膜上皮から発生するが,より萎縮,化生の進んだ粘膜上皮環境より発生すると考えられた.以上のことより,癌の組織型は,胃固有腺が萎縮し化生へと向かうにつれて,発生する癌の組織型が未分化型から分化型へ連続して変化してゆき,更に成長するにつれて成長する場としての粘膜環境の影響を受けて変化するものと考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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